ひわの葉薬(トップ) > 夜宵さまと僕 > 171〜180


 

171

「夜宵さま」

「なあに」

「リビングの真ん中で寛いでいるそのでかいカメは どうしたわけでこの場に存在するのでしょうか」

「ただのカメではありません。セーシェルゾウガメのクリストファー・シッダルタ君(推定170歳以上)です」

「……夜宵さま……微妙に東西聖人をミックスした名前はこの際置いとくとしても、インドの絶滅危惧種を日本に持ち込むのはいかがなものかと思うのですけれども……」

「あらいやだ。失礼なことを言わないでください このタラコ唇めが。インドにいるカタツムリの一人からのプレゼントです」

「か カタツムリ……? ではそのカタツムリさんは 何故こんなワシントン条約に眼前で中指を立てるような真似を」

「私がおとといの夜に電話で『カメって、神秘的ですね』と呟いたのを耳ざとく覚えていたようで、先日自家用ジェットでクリストファー・シッダルタ君(推定170歳以上)を届けに来てくれました」

「……いったいどんな話題からそんな呟きが……」

「いいじゃないですか。その呟きのおかげで奴は私の中の人物ヒエラルキー内において、ロイコクロリディウムからカタツムリへ進化できたのですから」

「うわあ スタート地点が既に底辺以下……!」

 

172

「そろそろ命日ね。お花を買ってきてくれる?」

「構いませんが、どなたの命日ですか」

「あなたのです」

「夜宵さま、小学生並のいじめはやめてください。というか、パワハラです」

「私の辞書に『パワハラ』という文字はありません」

「書き込んでください」

 

173

「夜宵さ」

「却下」

 

174

「ねえ豚」

「せめて人間名で呼んでください。なんでしょうか夜宵さま」

「陰湿ないじめを考えてみたのですが、あなたいじめられっ子になってみません?」

「今でさえ陰湿ないじめを受けている僕に これ以上何を」

「トウガラシ粉をブチ撒けたカプサイシンたっぷりの水で洗い上げた下着を穿かせて これが本当のホットパンツ!というのをですね」

「うわあ 健康にいいんだか悪いんだかわからない」

「もちろん試すのは往来です」

「何故そんな若手芸人みたいなことをしなければならんのですか」

 

175

「夜宵さま、今日も(●●●だけど)お美しいですね」

「今()の中で何を思ったか正直に言いなさい」

 

176

「ねえ豚、加藤清史郎君の靴下になるにはどうしたらいいでしょう」

「今年も夜宵さまは夜宵さまですね」

 

177

「夜宵さま、また今日も赤いバラの花束が届いておりますよ」

「バラの花束って燃えるゴミかしら」

「捨てるの前提でお話しになるのは何故なのですか」

「私はたつやくんとマユミーヌの『まねきねこダック』の唄を聴くので忙しいんです」

「流行遅れも甚だしいですが、さすがにもったいないんじゃないですか」

「もったいないもったいないって、片付けられない女ですか。私があなたを片付けてあげましょうか」

「どういった意味でですか……! いや、わかってるけど! けど!」

 

178

「暑いですね、犬」

「そうですね夜宵さま。初夏ですね」

「初夏といえば男児の靴下ですよね」

「何故そのような結論に至るのでしょうか」

「靴下から半ズボンまでの絶対領域は血中ショタ濃度を爆上げしますね」

「夜宵さまの血液には色んな煩悩が流れていそうですね」

 

179

「夜宵さま、この気温18℃の中 ノースリーブで寒くないのですか」

「私ほどの美女ともなると鳥肌すらたつはずがありません。それよりそんなことでヒイヒイと泣き言を言ってダウンジャケットを着込むあなたの神経が知れませんね、さすが豚ですね。豚なのに人間語をしゃべって恥ずかしいと思わないのですか! この豚が!」」

「何故そこで激昂!?」

 

180

「夜宵さま、今日はどちらにお出かけなさるんですか」

「狩りに行ってきます」

「なんの……!?」

「獲物を捕まえたあかつきには、あなたにも少し分けてあげますよ。触手とか」

「だからなんの狩り……!?」

 


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